ヤマロク醤油の桶づくり 2018年

木桶職人復活プロジェクト

ヤマロク醤油さんの桶づくり。お手伝いをしに小豆島に行ってきました。姫路港からフェリーに乗ります。

木桶職人復活プロジェクト

板の削りや竹割りは12月からはじまっていて、1週間かけての組上げで完成を迎えます。年々参加者が増えていて、到着した時には一本が組みあがっていました。

木桶職人復活プロジェクト

仮輪(鉄製のワイヤー)で締めて、実寸の長さを計って、それにあわせて竹で箍をつくります。桶は円柱ではないので上を締めると下が広がってきます。

木桶職人復活プロジェクト

ヤマロク醤油の山本康夫さん。日本で一番竹の扱いが上手な醤油屋です。

木桶職人復活プロジェクト

編みあがった箍。その内側に芯を入れます。

木桶職人復活プロジェクト

芯は竹に縄を巻いたもので、桶との密着に欠かせないもので、箍のふっくらとしたシルエットもつくってくれます。

木桶職人復活プロジェクト

せーの、ドン!せーの、ドン!と掛け声をかけながらハンマーで打ち込んでいきます。あらかじめ決めていた高さにきちっと落とし込むのが難しいのです。

木桶職人復活プロジェクト

今回はスペシャルなランチタイム。ラーメンの超有名店、麺や七彩の阪田さんと饗くろきの黒木さんによる小豆島スペシャルラーメン。

木桶職人復活プロジェクト

小豆島の素材たっぷり。海水を汲むためにわざわざ船をだしたそうです・・・

木桶職人復活プロジェクト

そんなラーメンを囲んで、皆のテンションはさらに高まります。

木桶職人復活プロジェクト

底板の側面に落書き。

木桶職人復活プロジェクト

落書きをした面同士をつないで一枚の板にします。

木桶職人復活プロジェクト

円に切り抜いた底板をクレーンで吊り上げて桶の中に入れていきます。

木桶職人復活プロジェクト

ドンドンドンと打ち込んでいきます。桶の淵に立っての作業なので、足と腰がけっこう大変なことになります・・・

木桶職人復活プロジェクト

2本目が完成。

木桶職人復活プロジェクト

一日の作業の終わりには集合写真。やったる(樽)でー!おっけー(桶)!が定番の掛け声なんです。

正田醤油に訪問

正田醤油

群馬県にある醤油の専業メーカーは3つあって、安中市の有田屋さん、みどり市の岡直三郎商店さん、そして、館林市の正田醤油さんです。

中でも正田醤油さんは国内の5大醤油メーカーの一つで皇后美智子様のご実家の本家筋としても知られていますし、地元の方にとっては正田醤油スタジアムの名称でも有名かもしれません。

私自身、群馬県に長年住んでいながら、しかも醤油に携わっていながら、ようやく初訪問に至りました。前橋市から車で1時間ちょっと。館林駅からすぐの場所に位置する正田醤油さんの本社は、諸味蔵として使われていた建物をリノベーションしたもの。それはもう立派な佇まいでした。

梁をそのまま残して現代的に改装されているので、上を見上げるとこのように大きな梁が。

正田醤油

この本社から車で少し移動したところにある館林東工場へ。

正田醤油さんは食品メーカーなど業務用途での出荷が多いこともあり、出荷場には1トンのコンテナやタンクローリーがたくさん停まっていました。

工場見学も一般の消費者向けには用意されていないので、マスコット的なキャラクターもかわいいイラストもまったく登場しません。

ただ、例えば工場紹介のVTRの表現では「屋外発酵タンクにジャケットを装着させて、温度コントロールすることで、寒仕込みにしていた製造が年間を通して可能になった」など専門用語が簡潔に、そして適切なバランスで表現されていて、とても信頼感がありました。

自社の醤油の特徴を伺うと、「ツンツンしていない」という回答。とがっていないという意味や、他の素材をあわせた時に醤油が主張するのではなく、素材をしっかりと引き立てるという意味なのですが、このような表現をされるところに正田醤油さんらしさを感じ始めていました。

正田醤油

そして、本社に併設されている正田記念館。そこにこんな展示がありました。醤油業の創業者である正田文右衛門さんの写真と、醤油醸造に関する経営指南書。

その差出人はキッコーマンの2代目茂木房五郎さんでした。「キッコーマンさんに醤油のつくりかたを教えてもらったんですよ」と、そう語ってくれたスタッフの方の語り口調が正田醤油さんらしさを体現しているようでした。

ミツル醤油の城さんの奮闘記が100号に到達

2010年6月の第1号から7年以上にわたって書き続けてくれています。この100号をご覧いただけると分かりますが、城さんは失敗談を赤裸々に綴っています。

「大豆投入の初期段階でこれはダメだ‥と、思っていましたが身内に「大丈夫と」見栄を切っていたので引き返せませんでした。笑」なんて部分は、その状況が想像できてしまって、どうしてもニヤニヤしてしまいます。

でも、他の蔵人は城さんをうらやましいと思うはず。

ここまで大胆に試行錯誤できるのは稀です。毎年同じ品質のものをつくるのが暗黙の前提になっているのかもしれません。その中で少しずつ品質をあげる努力はすれど、それでも、大胆な製法変更には躊躇してしまうのも当然のことだと思います。

でも、城さんの手掛ける「生成り、」は毎年仕込み年度が商品名に入ります。毎年違うことが前提になっている醤油で、どんどん進化している醤油です。「生成り、」のファンも、今年はどんな出来になるのか楽しみにこの奮闘記をご覧になっているはず。

2017仕込み
http://www.s-shoyu.com/jo/100.htm

大豆、小麦、食塩だけの醤油が本当によい醤油か?

大豆、小麦、食塩は醤油の基本となる原料ですが、
それ以外のものが入っている醤油はよくない!と、
そんな声を耳にすることがあります。

脱脂加工大豆やアルコール、そしてアミノ酸液や甘味料などが
名指しをされることが多いですが、それらが含まれているものは
偽物の醤油だという過激な意見も。

でも、ちょっとこれは、さすがに言いすぎだと感じています。



確かに、戦後以降の物資の不足している時期など、
原料コストを安くするためにアミノ酸液やそれに類する
ものを使っていたこともあったと思います。

ただ、現代では製造技術も大きく発達しています。
原材料も比較的容易に調達できるようになっていて、
大豆、小麦、塩だけの醤油は昔に比べれば容易につくれます。

しっかりとおいしい醤油となれば一筋縄ではいきませんが、
原材料表示がシンプルな醤油であれば安価に調達できます。

そのため、コスト重視だけの目的でアミノ酸液を使っている
つくり手は少ないように感じています。
むしろ、添加物って意外に高いですよと言われると思います。



九州に代表される甘い醤油。
アミノ酸液と甘味料を併用している場合が多いと思いますが、
地元のスーパーに行くとこのタイプの醤油が主役になっていて、
その土地で育った方にとってはこの味が醤油だと表現されます。

蔵元ごとに甘みの加減が違うので、蔵元の数だけ味わいがあって、
代々その味で育ってきたという家庭があるわけです。

その意味で、一概にアミノ酸液をつかった醤油を
否定することはできないと感じています。

大切にしたいのは、
生産者がどのような考えで醤油造りをしているか?
アミノ酸液を使うなら何故使っているのか?
単純に原料表示のみで良い悪いを判別したくはないですね。

10月1日はしょうゆの日でした

プレシャスサンデー

10月1日はしょうゆの日でした。日本酒の日でもあるそうですね。発酵や醸造には適した日なのかもしれないですね。しょうゆ情報センターによると、10月は収穫した農作物を貯蔵・加工する季節であること、10月が干支(えと)で10番目の「酉(とり)」にあたる月であることから、10月1日を醤油の日に定めているとしています。酉は酒にも醤にも使われていますよね。

しょうゆ情報センター
https://www.soysauce.or.jp/about/day.html

プレシャスサンデー

ということで、TBSラジオの「笹川友里 プレシャスサンデー」に呼んでいただきました。スタジオに6種類の醤油を持ち込ませていただき、笹川さんに味比べをしていただいたのですが、さすがはアナウンサー。それぞれの違いを上手に表現いただきました。

笹川友里 プレシャスサンデー
https://www.tbsradio.jp/ps/

ヤマサ醤油のポスター(杉浦非水)

ヤマサ醤油の銚子工場にとてもきれいなポスターが展示されていました。昔のものであることはすぐに分かるけど、ぜんぜん古臭くなくて、きれいだなぁ〜ってしばらく眺めていました。

杉村非水。近代のグラフィックデザイナーとして有名な方が手掛けていたのですね。

杉浦非水

杉浦非水

杉浦非水

杉浦非水

杉浦非水

醤油の諸味を搾る

醤油の諸味を搾る

醤油を搾る前の諸味。日常生活で目にする機会は少ないと思いますが、ご自宅で醤油づくりをしたり、醤油蔵に見学に行った時など購入できたりすると思います。

これを搾って醤油になるわけで、そのまま食べてもおいしいのはもちろんです。きゅうりにつけたり、ごはんにのせたり。

醤油の諸味を搾る

コーヒーフィルターがあればご家庭でも簡単に醤油を搾ることができます。ステンレス製のものが使い勝手がよく搾りやすいと思います。諸味をいれると自身の重さでぽたぽた滴ってくるはずです。

醤油の諸味を搾る

しばらくすると自重での滴りは止まるので、上から押してさらに搾ります。

ラップを一枚おいて、その上からビニール袋に水を入れたものを乗せると密着度も良く適度に重さをかけることができます。ただ、醤油蔵で搾るように最後まで搾り切ることはできないので、適度なところでやめて残った諸味を活用されるのがよいと思います。

まだ十分に水分とうま味が残っているので、ぬか漬けのように野菜につけたりお料理使ったりと。

ちくわの弾力=足がある

ヤマサちくわ

ちくわの歯ごたえを業界用語で「足(あし)」と表現するそうです。弾力があることを「足がある」「足がいい」と。そして、よい足をだすには、魚の身を「する」工程が大切。するとは混ぜることなのですが、その加減が職人の腕の見せ所だと佐藤善彦常務はいいます。

「することで魚の身の繊維を伸ばして、その隙間に空気が入ることで弾力が生まれます。すり工程の途中で塩を加えるのですが、そこから5分間が勝負。温度の管理か、塩分か、硬さか、なにをどれだけ調整すべきかを見極めないといけないですから」と。

ヤマサちくわ

普通のちくわと上級のちくわの食べ比べをさせていただくと、最初に噛んだ瞬間にすぐわかります。もちろん、元々の身のグレードも関わってきますが、心地よい弾力と魚のうま味の広がり方。確かに違うと納得します。

適した足の加減には、魚の種類毎に適したすり方はあるはずですし、春と冬では魚の状態も違うはず。その時々で異なる素材に応じた調整というのが、人が関わることだと感じました。

醤油と塩分の取りすぎ?

適度な塩味はおいしい
食塩は人類が最も古くから使い始めた調味料です。塩漬けにすることで食べ物を長期保存することができ、その起源は縄文時代くらいまで遡るのですが、醤油も穀物の塩漬けととらえて穀醤がルーツという見方もできます。

また、醤油をつくる過程でも塩があることは重要です。腐敗菌の活動をおさえているのが塩であり、そのおかげで半年以上もの長期間にわたる熟成発酵ができるのです。

また、食塩は人体にとって不可欠な成分でもあります。血液の浸透圧を保つことなど生命維持に関わる多くの役割を担っています。ただ、何よりも人がおいしいと感じるものには適度な塩味があると思います。子供のころにご飯に醤油をかけすぎて怒られた経験もあるのですが、塩味はおいしさの重要な要素だと感じています。

醤油と塩分

醤油は少量で満足感
醤油の塩分濃度は約16%です。健康には減塩だという流れの中で、塩分の摂り過ぎを懸念される方もいらっしゃいます。厚生労働省のホームページには1日当たりの塩分摂取量の目標値は男性で8g(女性7g)と表記されていますが、8gの食塩を仮に醤油だけで取ろうとすると50mlになります。

お刺身を食べる時に小皿注がれる醤油が5ml程度なので、小皿に残った醤油を飲み干しても食塩換算で1gにも満たない計算になります。醤油には塩味の他にうま味や甘味が溶け込んでいるので、食塩をそのままなめるよりも少ない量で満足感を得られるとも言えると思います。

吸収される塩分と排出される塩分
そして、より重要な視点は口にする食塩の量よりも、摂取した塩分と排出された塩分の差であるはずです。ここで塩分排出を助けてくれるのがカリウムなどのミネラルで、みそ汁の具材をイメージすると興味深いです。

昆布・わかめなどの海藻類、じゃがいも・里芋などのいも類、ホウレンソウなどの野菜類など。体にとって必要な塩分は吸収して不要分は排出させることを促進させます。昔からの日本人が食していた組合せはとても理にかなっていると実感しますね。

そうめんのつゆの比率

愛知県碧南市の小笠原味淋の小笠原さんは「めんつゆは、だし:みりん:醤油=4:1:1で絶品!」と声を大にして主張されます。「特にうちの妻がつくるめんつゆは相当にレベルが高いですよ」と言われるので、それならばと、これからそうめんの時期を迎えるにあたり、複数の醤油で試食をしてみることにしました。

そうめんつゆの比率

白、淡口、濃口、再仕込み、溜の5種類の醤油に対して、昆布と鰹のあわせだしを用意して、みりんを火にかけてアルコールを飛ばしだしと醤油を加えます。比率は、だし:みりん:醤油=4:1:1です。

最初の予想としては、濃口醤油は無難に平均的な味わいになってくれて、そこを中心に白・淡口はだしの風味を活かせて、溜は濃厚なタイプになるのではないかと思っていました。

そうめんつゆの比率

ただ、この予想は大きく覆されました。まずは白醤油。みりんに甘みがあるので、白醤油とあわせることでさらに甘さが増してくる印象。これはちょっと違うかも・・・。

続いて淡口。だしの感じがもっと前面にでてくるかと思っていましたが、みりんの甘さが強いように感じて、かけうどんのつゆとかであればすごくあいそう。ただ、そうめんのつゆと考えると、これも違う印象でした。

そうめんつゆの比率

濃口醤油。だいぶバランスが取れてきた印象なのですが、醤油の感じも甘さの感じも強く感じ、とにかく全体的に強い感じがします。「4:1:1の比率本当かなぁ?」と心配になりつつ、次は再仕込み。あれ、かなりアリかも。だしと甘みと醤油のうま味がよいバランスになってきました。

次の溜になるとさらにアリで、意外なことに溜が一番よかったです。ただ、全体的にもう一歩何かが変わればさらにおいしくなる気がして、何が足りないのだろうと考えていると、出来立ての温かいまま味を比べていたことに気づき、いったん冷ましてみることに。

そうめんつゆの比率

それぞれが冷えた後に改めて比べてみると、印象が確かに変わります。温かい時は全体的にみりんの甘さが前面に出てきていたのですが、その甘さが必要以上にでてこずに全体がしっかりとまとまってきました。淡口も濃口も温かい時と比べるとおいしくなってる。でも、依然として溜がおいしいことは変わりません。

よくよく考えてみると、小笠原さんの愛知県は溜の主産地でもあって、刺身には溜が落ち着くとも話されていました。確かに溜など濃いめの醤油だと「4:1:1」がちょうどよい印象です。

では、濃口醤油を活かせる比率はどうだろうと、みりんの量を減らして、だし:みりん:醤油=4:0.5:1にしてみると明らかに醤油のしょっぱさが強い。この路線ではないなと、みりん:醤油=1:1を固定してだしの量を増やしていくと、5:1:1にしたときにかなりしっくりときました。

そうめんつゆの比率

溜をベースにするなら、だし:みりん:醤油=4:1:1。濃口醤油なら5:1:1が現時点のちょうどよい比率になりました。ただ、継続してさらによい比率を探っていきたいと思います。

だしをとる手間を乗り越えれば、簡単においしいめんつゆが簡単にできます。しっかりと冷やすとよりおいしく感じるはずです!