職人醤油 誕生ヒストリー 16

 10月に小豆島(瀬戸内海の島)にて「第3回醤油サミット」が開催されます。昨年の第2回は、足立醸造の足立社長にお誘いいただき連れて行っていただいのたですが、「はじめまして。」を連発していた気がします。だけど、今回は「お久しぶりです!」っていう事が多いのだろうなって・・・とても楽しみにしています!

 職人醤油.comにご参画いただいている多くの蔵が全国各地にあるために、普段はメールや電話でのやり取りが多く、なかなかお会いできる機会がないのですが、その再会の場だったり、醤油サミットの公式プログラムが終わった後に集まりましょうねって企画を立てていたりと・・・

 時間が経つほどにお付き合いさせていただく人の輪が広がって、このように再会の喜びを感じることができる。自分自身、楽しさや幸せを感じる部分でもあるし、仕事の醍醐味でもあります。また、伝統産業や地域産業に関わるにあたって超が付くほど大切なことなんだろうなぁ・・・って感じています。これからも日々精進していかなくては!

職人醤油 誕生ヒストリー 15

 このようにして職人醤油.comはスタートすることになります。ホームページも自力で作成するものの、今から見直すと笑ってしまうくらい内容的にもデザイン的にも未熟でした。そんなホームページと8銘柄の100mlを携えて各地の蔵をまわり始めるのですが、多くの蔵がインターネットをあまり好きではありませんでした。

 「インターネットで100mlサイズを・・・」「えっ?!うちはインターネットはいいよ・・・」という具合に。聞いた話によると、インターネット販売に関係する営業電話が頻繁にかかってきていることもあり、「インターネットは関係のないもの」という思い込みも強かったといいます。そんなこともあり、インターネットだったり電話で醤油蔵を探していくことは難しいと感じ、それならば直接出向いてしまおう!ということにしました。

 結果的に、ほとんどがアポなしの訪問になりました。その地域に行ってその土地で聞く。「この近くに、こだわった美味しい醤油屋さんありませんか?」すると、「それならあそこだよ!」と教えていただける。そして醤油屋さんにたどり着くと「うちより○○さんの方がいいよ!」とさらに紹介してくれたりする。インターネットに載っていない情報だったり、あまりインターネット上では印象の良くなかった蔵が実はとてつもなく素晴らしい蔵だったり・・・

職人醤油 誕生ヒストリー 14

 なんとかビンのサンプルを入手してまた蔵巡り。先日訪問させていただいたところから、「ここは!」と感じた蔵の職人さんにアドバイスをもらおうと、5種類くらいのビンを持ち込みました。確か、70・100・150・200mlくらいのバリエーションがあったと思いますが・・・最初の印象は、「150ml・200mlは最近目にするようになってきたけど、それ以下は小さすぎるだろ・・・」

 一昔まで醤油は一斗缶(18リットル)や一升ビン(1.8リットル)で売られていました。今でも地方にいくとスーパーの下段には1.8リットルのペットボトルで醤油がずらっと並んでいます。長年醤油に携わっている方にとっては、1リットルや500mlでも「昔に比べれば」、だいぶ小さくした印象だったのでしょうね・・・

 また、ビンの充填に関しては機械を使用している蔵が多いのですが、小さいビンだと対応が難しく、全てが手作業になってしまうなどの作業面での負担も大きくなることが判明・・ただ、ちょっと強気に、半ば強引にお願いしてみると、「仕方ねえなぁ・・・まっ、ものは試しだ。いっちょ乗ってやるよ!」と8蔵に造っていただくことできました。

職人醤油 誕生ヒストリー 13

 手始めに「ビン」を探しました。実際に商品化するにしても、職人さんに意見をもらうにしても、実物が手元にあるかないかの違いは大きいはず・・・ところが、なかなか思い通りのビンが見つからない。特に100mlサイズに搾って探していたわけではなけど、なんというか、「カワイイ!」といわれそうなデザインがない。

 インターネットからビンのメーカーを調べたり、訪問した醤油屋さんからビンメーカーを紹介してもらったりして、カタログとサンプルを分けていただく・・・その中で聞いた話だと、ビン業界はメーカーが直接販売しているケースは少なく、ビンの問屋や商社経由で流通しているらしい。ビンを作る原型になる型の製作に相当な金額がかかるために、独自にビンを作るメーカーは少ない。そう聞いて、妙に納得・・・

 中にはとても洗練されていてお洒落なビンもあるのですが、価格が2倍とか3倍になるわけです。「この価格だと、化粧品とかでないと難しいんですよ・・・」これにも妙に納得。。。なかなか難しいビン探し。

職人醤油 誕生ヒストリー 12

 自分ならどうしたいか・・・考えてみると・・・やっぱり、それぞれを口に入れてみたい。ちょっとの量でいいから醤油の試食をしてみたい。だけど、目の前にあるのは1リットル、小さくても500mlの醤油たち。これらを3本とか5本とか買って帰る勇気って相当だなと。そこで思いついたのが・・・小さいサイズの醤油でした。

職人醤油 誕生ヒストリー 11

 「だいぶ醤油に詳しくなったぞ!」と小さな自信を抱えて都心の百貨店の醤油売り場を・・・愕然とします。各地の醤油がずらっと並んでいるものの、どの醤油が「いい醤油」か全く分からなかったのです。そもそも「この中から一本選んでみな。」って言われて選べない自分がいました。せいぜい見栄えのいいラベルか、価格を比べて高いものがいい醤油なのかな・・・という程度な判断しかできなかったのです。

 自分がこんな状態なのだから、多くに人にとって、「醤油を選んで買うという習慣」って、ほとんどないのだろうなと感じました。ほとんどが価格の比較か、過去に口にしたことのある銘柄のリピート・・・その意味で、消費者の方に口に運ぶまでのハードルがとてつもなく高い商材が醤油だなと・・・

職人醤油 誕生ヒストリー 10

 また、原料に関しても、一般的に使われている醤油の多くが脱脂加工大豆という油分を抜き取った大豆を使うのですが、国産の大豆を使っている蔵もあり、その原料コストの違いにも驚きました。最新の大型設備でつくっているメーカーがあれば、昔ながらの木桶で仕込んでいる蔵もあったり・・・一言で醤油といっても、全く異なる醤油が存在していることを知りました。

(醤油業界の現状)
・醤油の原料は大豆、小麦、塩。
・醤油の生産量は100万キロリットル(年間1人7.3リットル)
・国産大豆を使った醤油はの流通量はわずか1.7%。
・大豆の自給率は4%。そのほとんどは豆腐とか納豆などの加工へとまわるために、醤油に使われる量は少ない。

職人醤油 誕生ヒストリー 9

 そのような調子で短期間で集中して蔵を訪問していくことで、同じ醤油をつくっていても設備も工程も微妙な違いがあることが分かってきました・・・もちろん、造り手である「人」も・・・。

 ふと、醤油の原料である「大豆とか小麦」の姿が全く見られない蔵があることに気づきました。「なんで原料ないんですか?」ってお伺いすると、「うちは原料からの加工はしていないんだよ。生揚げ(きあげ)っていう半製品を買ってきているんだ。そして、全国の9割近くの醤油メーカーがそうなんだよ!」衝撃を受けました。

職人醤油 誕生ヒストリー 8

 横浜醤油の筒井社長から醤油の手ほどきを受け、「次にお伺いすべき醤油メーカーを教えてください!」ってお願いすると、その場で東京の近藤醸造の近藤社長に電話していただき、2件目が決定。この日が醤油の世界に足を踏み入れた第一日目でした。

 その調子で、関東にある醤油メーカーを30軒訪問しました。ほどんどが飛び込み状態だったので、最初は怪訝な顔をする職人さんたちでしたが、私を見るなり、「おぉ。若いな!こんな儲からない業界に何しに来たんだ!辞めておいたほうがいい。」と言いつつも、みなさん優しくいろいろと教えてくださいました。

職人醤油 誕生ヒストリー 7

 ただ、待てよ。当たり前に使っている醤油だけど、そもそも醤油って何から出来ているんだ・・・どうやって造るんだ・・・何も知らないと気づき、そうなれば造っている人に聞くのが早いと、インターネットで醤油蔵を探すと当時の家から一番近くにあった横浜醤油。電話をしてみると、その日の午後に来て良いとのこと。醤油の知識もおぼつかないまま、大急ぎでインターネットから調べられる限りの知識を詰め込んで向かいました。