小川醸造(鹿児島県)

小川醸造

「売れなくてよかったんだよ!」と小川会長。自分の納得を第一にした商品だったから、宣伝もしなかったし、売れなくても焦る必要がなかったといいます。

九州で一般的なのは生揚醤油にアミノ酸液を混ぜた混合タイプの醤油ですが、その製法ではなく、再仕込み醤油をベースにした甘い醤油。火入れの仕方なども創意工夫がたくさんなのに、たくさん売れなくていいんだと言い張る会長。そんなこと言わずに売りましょうよぉ〜とスタッフの方がつっこんでいました。

製造現場に行くと若い男性スタッフたちが作業中。カメラを向けると醤油を手にポーズを取ってくれるノリのよさ。

吉永醸造店(鹿児島県)

吉永醸造店

鹿児島中央駅から歩いて数分。吉永醸造店の店先に配達帰りのトラックが停まっていました。自分たちで説明できる範囲内の商売をしたいと、地元のスーパーにも卸をせずに、御用聞きで各家庭に配達をしているそうです。そして、店先にはご近所さんと思われる男性が、「五合ね」と言いながら一升瓶をビニール袋から取り出していました。店頭では量り売りもしています。

九州の醤油って甘いですよねという話題になった時、「私たちにとっては甘い醤油が当たり前なんですよね。だから、いつも逆にこう質問するんです。どうして醤油って塩辛いんですか?って。そう聞かれるのと感覚なんですよね!」と吉永広記社長。そして、こうも教えてくれました。「醤油が甘くてクレームを言われたことって一度もないんです」と。ただ、逆に今回の醤油は辛いぞという声は敏感に寄せられるといいます。甘さに特徴のある鹿児島の醤油です。

鹿児島県醤油醸造協同組合

鹿児島県醤油醸造協同組合

鹿児島県の協同組合工場は、すごく綺麗で良い生揚醤油をつくると聞いていました。とても綺麗が製造現場に時々出会うことができますが、そこには必ず何かしらの、その状態を保てている理由があるものでした。そして今回は、鉄製の網目状になっている足場に象徴されるように感じました。

鹿児島県醤油醸造協同組合

生産規模も大きいので、製造設備も大型になり、建物でいう2階3階くらいの高さになることもあります。もちろん足場はあるので、それぞれの設備を直接確認することはできるのですが、さらに一歩近づいて細部まで間近に見て直接触れるように、足場が増設されているのです。「溶接含めて自分たちで対応できるようにしてあるんだ」と日高工場長。

鹿児島県醤油醸造協同組合

同様に、醤油の麹をつくる円盤室の下層にあたるスペースは意図的に高く設計されています。人が中腰になることなく入って、立ったまま作業ができることを前提にしているそうです。そして、空気を送り込む送風ダクトも大型。中に人が入って掃除やメンテナンスをできるように。設備を導入するときから決まっていたコンセプトだったそうです。

鹿児島県醤油醸造協同組合

徹底的に綺麗な状態が保たれていました。

児玉醸造さんと金七商店の鰹節(鹿児島県)

金七商店

鹿児島市内からぐるっと高速を走って東串良町にある児玉醸造さんへ。工場から車で数分走ったところにある直売所は元々農協の倉庫だった石蔵。中に入るとひんやり涼しく、醤油がセンスよくディスプレイされていました。そして、枕崎の金七商店を目指すために根占港へ。そこから山川港まで50分の船旅は、思った以上に小型のフェリーだったのでよく揺れる。初日に引き続き、早く着く事を祈りながら…。

到着した金七商店は鰹節屋さん。数年前に群馬に遊びに来てくれた瀬崎さんに、「次は枕崎に行きますね」の約束をようやく実現できた形に。当初2時間くらいをお互いに想定していたのですが、気づけば4時間以上じっくりと鰹節の話を伺っていました。

以前、鰹節の問屋さんに大切なポイントは?と質問した時に、「形」という返答でした。だけど、別に削ったら形なんか関係なくなるわけだし、昔からの商習慣なのかな程度に思っていたのですが、今回の瀬崎さんの解説で合点がいきました。

一言に形と言っても、綺麗なシルエット、歪みや反りがない、欠けがない、凹みがないなど、たくさんの要因が積み重なっています。作業の途中にぶつけて傷をつけないなんてのは大前提で、骨を一本一本抜いた、その穴にもすり身を塗り込んで埋める。いぶす時にまっすぐの形になるように細かく矯正を加えてあげる。水分が急に抜けてもだめだし、残りすぎてもだめ。ゆっくりじっくりと水分をなくしていくことでカビをつけた時にささくれができにくくなる。カビにとってちょうど良い脂を含んだ節を見極めなくてはいけない。魚の鮮度も良すぎても割れる原因になってしまうので、わざと鮮度を落とす前処理をすることも。これらの、一つ一つの要素を積み重ねていって、やっと綺麗な鰹節になる。多くの工程の一つでも減点があると、綺麗な形にはならないわけです。それらを全部クリアした、その鰹節が美味しくないはずがないというわけ。

黒酢(鹿児島県霧島市)

黒酢

乗船前の切符売り場に船内のイラストが並んでいた。お洒落なカプセルホテルを思わせる近代的なベットに心躍らせていると、「2018年就航」という文字。おそらくあと2年で役目を終えるであろう「フェリーさんふらわあ」に乗り込み、大阪の南港を17時55分に出航。しかも、小豆島に行く時に何度かフェリーを経験していたので、船酔いは克服したものと安心していたら、現実はそんなに甘くはないものですね。結局、翌朝9時40分の鹿児島県の志布志港に着岸後もギリギリまで横になっている羽目に。

そのまま車で1時間ほど北上して霧島市にて黒酢の勉強。

日本酒は並行複発酵などといわれます。二つの発酵が同時並行的に行われているという意味で、麹菌が作り出した酵素が米のでんぷんを糖にする一つ目の発酵と、その糖を使って酵母菌がアルコール発酵をする二つ目の発酵。

そして、黒酢の場合は、これに酢酸菌による酢酸発酵を加えた三つの発酵が一つの壺の中で行われているそうです。さらに熟成による変化も大きくて、一年ものは酸っぱさが強いものの、二年三年と時間を経るごとに色が濃くなってまろやかになっていく。そんな様も、醤油との共通点や相違点など比較すると興味深く、そんなことをぽけーっと考えながら黒酢レストランでスイーツを。

d-labo二子玉川で醤油セミナー

d-labo 醤油

二子玉川駅から徒歩数秒。オフィスビルの12階にある銀行の支店は、銀行とは思えない空間でした。座り心地のよさそうな椅子がならび、壁一面の本棚、窓際にはスタッフの方がセレクトしたであろう本がおすすめコメントとともに並べられています。ガラスの壁に囲まれた空間からの眺めに圧倒されていると、「天気がよいと富士山も見えるんですよ!」とのこと。

d-labo 醤油

スルガ銀行。社会人生活3年目の1年間を静岡で過ごした身としては馴染み深い銀行。週末の友人の結婚式に向けて新札への両替をお願いしたとき、「結婚式ですか?」の一言ともに投げかけてくれた笑顔に、超がつくほどよい印象が今でも残っています。そのスルガ銀行が「d-labo」というコミュニケーションスペースを運営していて、その一つがこの二子玉川支店。

d-labo 醤油

夢研究所でd-labo。銀行が運営していながらお金に関するというよりは、一人ひとりの夢をカタチにするためのサポート空間として、ライフスタイルに関する様々なセミナーが開催されています。そのプロデューサーの島田さんと出会ったのは1年ほど前。別会場の醤油セミナーに参加してくれて、その後の何度も足を運んでくれて、一緒にご飯いきましょうとなって・・・そして、今回、d-laboで醤油セミナーを開催させていただきました。

d-labo 醤油

少人数で開催するのもd-labo流。最初は全員の自己紹介でスタートして、最後は全員で感想を発表しあって終了する。自然と生まれる一体感。今回が120回目のイベント。島田さんは講師を依頼するときに、自分でそのイベントを体験してから依頼するそうです。しかも自腹で。自分で納得して、d-laboの参加者をイメージしてよい繋がりがつくれそうだと確信してからといいます。よいイベントって、主催者の熱量に左右されるものなんですよね。やっぱり。

d-labo
http://www.d-laboweb.jp/

ペスカの宮崎さんが伝える 幼稚園で教わったはずのこと



共愛学園前橋国際大学の講義の一環として行われた創業者 創出ミーティング。ペスカの宮崎さんが講演をするということで伺ってきました。「私は人を幸せにするハピネスを理念に・・・」というフレーズでスタートするのがいかにも宮崎さんっぽい。小3でグレて、小6で隣町にケンカをうりにいって、中学になってグレ度はさらにエスカレート。というやんちゃな幼少期の話が導入編。さらに、パティシエで若くして賞をとって、ヒップホップでも地元の若者で知らない人はいないくらいになって、洋服屋をはじめても順調で、おれってすげー!ってどんどん鼻が伸びに伸びて・・・それが、29歳でぽっきり折れて・・・。改めて時系列にそって聞くと、壮絶な話の連続。

そんな宮崎さんが伝えていたこと。「幼稚園で教わることってありますよね。しっかり挨拶しましょう。整理整頓。時間を守りましょう。お友達には優しくね。ありがとうは大きな声で。これって、知らない人はいないですよね。誰でも分かっている当たり前のこと。でも、なぜするのか?何のためにするのか?しっかり考えたことありますか?」ここに集約されている気がしました。

今日、真剣に耳を傾けていた学生さんが、数年後とか十数年後とかに、そういえばあの時、ハピネスって繰り返していた宮崎さんが言っていたことって、こーゆことだったのかって、振り返って噛みしめているシチュエーションが想像できる、そんな素敵な講演でした。

PIZZERIA PESCA! ピッツェリア ペスカ!
http://www.pesca.pizza/

気づけば、もう8年。鶴屋の東さん。



鶴屋の東さんとは8年くらいのお付き合い。東京出張ということで、終電までの2時間だけの再会。この前に会ったのっていつでしたっけ?って、記憶が曖昧なものの、ちょくちょく電話しているので、ご無沙汰感がないのも不思議な感じ。鶴屋といえば、醤油づくりに関わる原料から包材、大型の製造設備までと、醸造に関することなら何でもお任せあれという存在。当然全国の醤油メーカーさんを知り尽くしている会社なのです。

これまでいろいろな営業の人に出会ってきたつもりだけど、醤油のこと、醤油業界のこと、醤油の生産者のことをしっかりと考えていて、小さな案件でもとことん丁寧に対応するってことにかけて、東さんの右にでる人ってそうそういないと思う。ぼくとの出会いも、職人醤油の取り組みをスタートしたばかりで、取扱いの銘柄も少なくて、ホームページの見栄えもショボショボで、ほんとによちよち歩きだった時に、素敵な取り組みですねってメールをくれて、奈良県の片上醤油さんに伺うときに、じゃあ、ぼくも行きますよって来てくれて・・・が初対面。東さんでなければこんなアプローチは絶対にしてくれるはずがないわけです。気づけば、もう8年なんですね。

近藤スワインポークの近藤さん

近藤スワインポーク

「納品の帰りに寄ってみました」と一人の男性がご来店。「群馬イノベーションアワードの発表を見て、気になっていて・・・」と、1年半以上も前のことをきっかけにご来店いただきました。話を伺うと前橋高校の先輩で、前橋で養豚業をされているとのことでした。

ホームページを拝見すると、「自分の子どもに安心して食べさせられる無添加ウインナー・自社農場産の豚肉で実現しました」という文言が。一般的に無添加のウインナーは難しいと聞いたことがあります。きっと、いろいろチャレンジをされていらっしゃるんだなぁ〜と。次はぼくが農場に伺わせていただく約束をいただいたので、その日がいっそう楽しみに。

近藤スワインポーク
http://www.kondo-swine.com/

短期間でできる白醤油は、つくるのが楽なのか?

  • 2016年05月30日(月)
  • -
「早くできていいよね!」と、濃口醤油の生産者は、白醤油のつくり方を見て、そう思うかもしれない。濃口醤油は長いものだと二年くらいかけてつくるのに対して、白醤油は数ヶ月で商品になる。

醸造期間だけ比較すれば、白醤油の方が確かに短い。ただ、白醤油の大切な要素は色であって、時間が経つほどに色が濃くなってしまい、想定していた期間を1ヶ月過ぎてしまえば、白醤油と呼べなくなってしまう場合もある。

つまり、在庫がたくさんあるので搾らなくていいですとは言えず、仕込んだ分はそのタイミングで搾らないといけない。濃口醤油であれば、ある程度の熟成期間を過ごした後は在庫状況に応じて圧搾できるので、どちらが単純に楽だとは言えないわけです。

特に夏場は気温が高く色が付きやすく、生産現場サイドとしては早く出荷したい。けど、白醤油の需要が一年の中で最も少ないのがこの夏場。生産管理に頭を悩ませる日々なんだとか。
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職人醤油 代表/醤油蔵の訪問数は300以上。伝統産業や地域産業の「つくり手」と「使い手」の「つなぎ手」となる組織をつくりたいと考えています。1980年 群馬県前橋市出身/(株)伝統デザイン工房 代表取締役

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