東京ガスキッチンランド世田谷

今年の1月に開催させていただいた東京ガス料理教室の醤油セミナー。ウソかホントか好評だったということでアンコール開催。前回が1日1回開催だったのに、担当の伊藤さんが午前午後と2回いきましょう!ということで2回開催×2日の計4回開催に。集客大丈夫かなと心配したのが失礼な程にあっという間に抽選に。でも、すごいのは東京ガスさんなのです。特に現場のスタッフの方のすごさを今回も実感しました。

セミナーの準備だったり後片付けだったりのテキパキ感と要領の良さが気持ちよいほど。野菜を切っていると思えば、あっという間にから揚げが揚がっていて、シンクにあった洗い物がもうなくなっている・・・そんなことの連続です。

今回のセミナーの流れとしては、醤油の解説→醤油をつかった料理実習→みんなで食べる形だったのですが、料理を食べながらも補足的に醤油の話をしたいと思い、資料をモニターに映したいとあるスタッフの方にお願いをしました。ニコッと笑って対応してくれたのはもちろんですが、続いての2回目の午後のセミナーの時、頃合いを見計らって、「そろそろ切り替えます?」って声をかけにきてくれたのです。本当に些細なことかもしれないのですが、自分の作業をしつつ気配りをしてくれるこの姿勢が普通なんだなって。アンケートにも書かれていた「スタッフの方がいつも親切で・・・」という記載にもおおいに納得してしまうのです。

醤油が主役になる食

「刺身にあう醤油はどれですか?」ご来店いただく9割くらいのお客様から質問を受けます。そして一方で、醤油の生産者に「刺身以外にどんな使い方するとおいしいですか?」と質問して、即答できる方も少ないように感じていました。醤油は万能なものだから、何でも相性よく美味しくしてくれる。オールマイティというすごく幅の広い回答になってしまうから、こだわりの醤油=刺身というシチュエーションになってしまう気がして、もっと用途提案をしないといけない、そう思っていました。ただ、あまりにも中途半端だったことに気づきました。

「醤油ってどんな存在?」と生産者に聞くと、「縁の下の力もち」と答えます。これは絶対に間違っていないと思うのです。醤油の本質は素材を引き立てることだと思います。でも、醤油の生産者ではなくて、醤油を販売している立場にある自分たちだからこそ、逆に醤油が主役になる食を提案していくべきだと思いました。「醤油が主役になる食の提案」これが大きな軸になってくれるような気がして、今の取り組みをここをもとに見直していきたいと思っています。

松屋銀座で自由研究イベントします!

醤油を皿に注ぐ。そのまま数日。徐々に塩の結晶が姿を現わします。大きな立方体になるものもあれば、小さな粒々が点在しているもの、立方体っぽいけどゴツゴツした岩のようなものなど、醤油の銘柄ごとに結晶の形が異なるのです・・・今週、松屋銀座で自由研究をテーマにイベントを開催します。単なる醤油の解説で終わっては面白くないので、どんな広がりを作れるか、頭を悩ませています。



日 程:8月18日(木)19日(金)
時 間:両日とも15時スタート(60分の予定です)
場 所:松屋銀座 B2 ライブキッチン(職人醤油前)
    〒104-8130
    東京都中央区銀座3−6−1
    TEL:03-3567-1211
参加費:無料
対 象:お子様の夏休みの自由研究を前提にしています。お子様と保護者様2人1組でのご参加をお願いいたします。
定 員:6組
持ち物:筆記用具のみお持ちくださいませ。
申込方法:

1)ご希望日程 「8月18日(木)」/「8月19日(金)」
2)お名前
3)お電話番号

メールかお電話にて申し込みください。
メールの場合は折り返し確認メールをお送りさせていただきます。その他、ご不明点などのお問合せもお気軽にご一報ください。

info@s-shoyu.com
TEL:03-3567-1211(松屋銀座 大代表)
地下2階の職人醤油宛にご連絡くださいませ。

*詳細はこちら
http://www.s-shoyu.com/ask/event.html#160818

楽してできることに流れてはいけない

  • 2016年08月11日(木)
  • -
福島塾。各地のスーパーの社長が集まっての勉強会。その中のある社長さん。「総菜部門のスタッフが退職したので、そのフォローのために現場に入った。すごく大変!こだわった素材を一から加工しようよと、今まで現場と喧々諤々してきたけど、現場は本当に大変。餃子一つとっても焼くの大変なんですよねぇ」理想を掲げることと、それを現場で実行するために落とし込むことは難しい。

そして、その大変なことを当たり前に定着させてしまっている福島会長は、「惣菜をレストランレベルにするという考え方があるけど、それよりも、お客様視点にたってときには、お客様が家庭で食べるタイミングでおいしい。そのことが大切だと思う」。どこを目指すかをはっきりさせること。そして、つくり手も小売りももっと勉強をしないといけない。そうでないから、楽してできる農業、楽してできる商業に流れてしまっている・・・。

高砂醤油本店(島根県)

高砂醤油

「ホント うれしいがぁ〜」と方言まじりに話す高砂範子さん。弟の勝行さんと共に家業の醤油づくりに携わりつつ、イベントに出店する理由をお客さんに会いに行くためといいます。島根県は自社醸造を続ける蔵元が多く、再仕込み醤油をベースに甘みをつけた醤油が流通しています。その絶妙な甘さ加減に他の地域のファンも多く、普段電話でしかやりとりできていないお客さんにイベント出店の際にやっと会えると、「お互いに、わぁ〜ってなるんです!」。

「石橋を叩いても渡らない家族です」と自分たちを表現しながらも、有機原料をつかった醤油の仕込みに挑戦中。綺麗に管理されている蔵内を見学させていただいた後に、「お客さんを蔵見学にご招待しちゃえば?!」と伝えると、「えぇ〜!そんな思ってもみなかったですよ。でも、楽しそうだね!やろうやろう!」と。すご〜く丁寧にお客さんをおもてなししている二人の姿が想像できてしまいます。

クルメキッコー(福岡県)

クルメキッコー

九州で見つけました。桶がずらりと並ぶ醤油蔵。福岡県久留米市にあるクルメキッコーさん。そして、それ以上に現場が若いパワーにみなぎっているのが印象的でした。

体育会系的な挨拶が清々しすぎて、思わず伺ってみると男性スタッフはみな野球部出身とのこと。諸味の攪拌作業を全て手作業でしている蔵元は数えるほどしかないと思いますが、全部手作業でこなすそうです。さすが野球で培ったパワーという感じですが、それ以上にスポーツをしてきた人は挨拶やチームワークの大切さ、マナーなどが自然と備わっているそうで、訪問して最初に感じた雰囲気は確かにそうだなぁと。

出荷場にはリサイクルされた一升瓶に詰められた醤油が山積みに。定められた位置にキチッと並んでいました。この整然と並ぶ様に野球部的なものをまた感じてしまいました。

小川醸造(鹿児島県)

小川醸造

「売れなくてよかったんだよ!」と小川会長。自分の納得を第一にした商品だったから、宣伝もしなかったし、売れなくても焦る必要がなかったといいます。

九州で一般的なのは生揚醤油にアミノ酸液を混ぜた混合タイプの醤油ですが、その製法ではなく、再仕込み醤油をベースにした甘い醤油。火入れの仕方なども創意工夫がたくさんなのに、たくさん売れなくていいんだと言い張る会長。そんなこと言わずに売りましょうよぉ〜とスタッフの方がつっこんでいました。

製造現場に行くと若い男性スタッフたちが作業中。カメラを向けると醤油を手にポーズを取ってくれるノリのよさ。

吉永醸造店(鹿児島県)

吉永醸造店

鹿児島中央駅から歩いて数分。吉永醸造店の店先に配達帰りのトラックが停まっていました。自分たちで説明できる範囲内の商売をしたいと、地元のスーパーにも卸をせずに、御用聞きで各家庭に配達をしているそうです。そして、店先にはご近所さんと思われる男性が、「五合ね」と言いながら一升瓶をビニール袋から取り出していました。店頭では量り売りもしています。

九州の醤油って甘いですよねという話題になった時、「私たちにとっては甘い醤油が当たり前なんですよね。だから、いつも逆にこう質問するんです。どうして醤油って塩辛いんですか?って。そう聞かれるのと感覚なんですよね!」と吉永広記社長。そして、こうも教えてくれました。「醤油が甘くてクレームを言われたことって一度もないんです」と。ただ、逆に今回の醤油は辛いぞという声は敏感に寄せられるといいます。甘さに特徴のある鹿児島の醤油です。

鹿児島県醤油醸造協同組合

鹿児島県醤油醸造協同組合

鹿児島県の協同組合工場は、すごく綺麗で良い生揚醤油をつくると聞いていました。とても綺麗が製造現場に時々出会うことができますが、そこには必ず何かしらの、その状態を保てている理由があるものでした。そして今回は、鉄製の網目状になっている足場に象徴されるように感じました。

鹿児島県醤油醸造協同組合

生産規模も大きいので、製造設備も大型になり、建物でいう2階3階くらいの高さになることもあります。もちろん足場はあるので、それぞれの設備を直接確認することはできるのですが、さらに一歩近づいて細部まで間近に見て直接触れるように、足場が増設されているのです。「溶接含めて自分たちで対応できるようにしてあるんだ」と日高工場長。

鹿児島県醤油醸造協同組合

同様に、醤油の麹をつくる円盤室の下層にあたるスペースは意図的に高く設計されています。人が中腰になることなく入って、立ったまま作業ができることを前提にしているそうです。そして、空気を送り込む送風ダクトも大型。中に人が入って掃除やメンテナンスをできるように。設備を導入するときから決まっていたコンセプトだったそうです。

鹿児島県醤油醸造協同組合

徹底的に綺麗な状態が保たれていました。

児玉醸造さんと金七商店の鰹節(鹿児島県)

金七商店

鹿児島市内からぐるっと高速を走って東串良町にある児玉醸造さんへ。工場から車で数分走ったところにある直売所は元々農協の倉庫だった石蔵。中に入るとひんやり涼しく、醤油がセンスよくディスプレイされていました。そして、枕崎の金七商店を目指すために根占港へ。そこから山川港まで50分の船旅は、思った以上に小型のフェリーだったのでよく揺れる。初日に引き続き、早く着く事を祈りながら…。

到着した金七商店は鰹節屋さん。数年前に群馬に遊びに来てくれた瀬崎さんに、「次は枕崎に行きますね」の約束をようやく実現できた形に。当初2時間くらいをお互いに想定していたのですが、気づけば4時間以上じっくりと鰹節の話を伺っていました。

以前、鰹節の問屋さんに大切なポイントは?と質問した時に、「形」という返答でした。だけど、別に削ったら形なんか関係なくなるわけだし、昔からの商習慣なのかな程度に思っていたのですが、今回の瀬崎さんの解説で合点がいきました。

一言に形と言っても、綺麗なシルエット、歪みや反りがない、欠けがない、凹みがないなど、たくさんの要因が積み重なっています。作業の途中にぶつけて傷をつけないなんてのは大前提で、骨を一本一本抜いた、その穴にもすり身を塗り込んで埋める。いぶす時にまっすぐの形になるように細かく矯正を加えてあげる。水分が急に抜けてもだめだし、残りすぎてもだめ。ゆっくりじっくりと水分をなくしていくことでカビをつけた時にささくれができにくくなる。カビにとってちょうど良い脂を含んだ節を見極めなくてはいけない。魚の鮮度も良すぎても割れる原因になってしまうので、わざと鮮度を落とす前処理をすることも。これらの、一つ一つの要素を積み重ねていって、やっと綺麗な鰹節になる。多くの工程の一つでも減点があると、綺麗な形にはならないわけです。それらを全部クリアした、その鰹節が美味しくないはずがないというわけ。
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職人醤油 代表/醤油蔵の訪問数は300以上。伝統産業や地域産業の「つくり手」と「使い手」の「つなぎ手」となる組織をつくりたいと考えています。1980年 群馬県前橋市出身/(株)伝統デザイン工房 代表取締役

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